UK・EU自動車パーツ市場の現状と変化

いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は少し真面目なお話をさせてください。

ここ数年、UKやEUのパーツ販売業界はまるで夢のような活況を見せていました。
コロナ禍で人々の自宅時間が増え、愛車の手入れ需要が急増。海外でも日本と同様にパーツの需要が一気に高まり、業界は活況を呈しました。

しかし、その勢いは長く続きませんでした。
2023年以降、景気減速や物価高騰が顕著になり、消費者の財布の紐は固くなります。そして海外にもある残価設定型ローンの利用率が上がってその制約による車弄りが難しくなってきた。

さらに追い打ちをかけるのが、BEV(電気自動車)シフトです。海外特にEUでは環境問題の取り組み意識は日本の比でなくBEV化へと拍車がかかっています。
BEVへの生産シフトで以下に説明する物資不足の影響を受けて、従来の内燃機関車向けパーツの生産・供給は減少し、新型BEV生産のために限りある物資はそちらに回されました。

物資不足とウクライナ戦争の影響
ウクライナ戦争による軍需増大・他の武力衝突が勃発して、地域紛争の危機感がリアルになってきた昨今、鉄鋼やカーボンファイバーなどの素材が不足。
EUの鉄鋼需要は減少傾向にあるものの供給不安は続き、カーボン市場は成長中も納期遅延が常態化。
この二重苦がパーツ生産を制約しています。

コロナ禍バブル崩壊と物資不足の二重苦
世界中が2020〜2022年の新車供給停滞で中古車とパーツ市場が過熱。価格高騰と即売れ状態が続き、多くがコロナが収束したら「更に!!!」と期待しましたが、需要は急速に冷え込みました。

さらに、ウクライナ戦争で軍事用途にも使われる素材不足が深刻化。特にカーボンパーツは納期が数か月単位で遅れ、仕入れ計画が困難です。

海外仲間たちの疲弊
UK・EUの仲間たちは商品の供給量が低減、利益率低下、輸送コスト上昇、いまも仕入れ困難に苦しんでいます。事業継続が危ぶまれる声も多く、かつてのバブル期の笑顔は完全に影を潜めました。

為替変動のリアル
2022年のEUR/JPY平均レートは約138円/€1。

2025年は約164〜173円に上昇し、仕入れコストは約1.24倍に。

輸送費DHLも2024年1月と2025年1月に合計約12%値上げ。

生き残るための道
モータリゼーションが大きく変わった今日、この逆風を乗り越えるには変化を受け入れるしかありません。BEVという電気仕掛けの車は環境問題をそっちのけで需要は微々たる増。スペインや日本でも暑い熱いといいながら、地球の抱える環境存続危機課題にも我関せずの笛吹けど踊らずの様相です。完全自己都合主義に変わった世の中で、それは当面の間、続くでしょうし、もっと酷くなるかもしれません。BEVへの対応やニッチ市場特化、オンライン販路強化、そして国境を超えた仲間との連携がこれまで以上に重要になります。

自動車パーツ販売は単なる物販ではなく、自動車文化と情熱をつなぐ仕事。
今の試練を越えた先には、新たな市場と可能性が待っていると信じています。

まとめ
UK・EUパーツ販売業界は、コロナ禍バブル崩壊、不景気、車の買い方の変化、BEVシフト、ウクライナ戦争による物資不足、そして為替高騰という多重の逆風にさらされています。
しかし、情熱ある仲間たちの工夫と連携で、当面は形を変えながらも未来を切り拓いていく過渡期であると思う次第です。