先日、海外の有名なアバルトのパーツショップがひっそりと幕を閉じました。
創業して10年チョイだった筈。
世の中、パーツ屋と言っても大きく分かれて、オリジナルを持たず、既成のパーツを取り売りしているだけの取り売り的な商売と、独自の感性でオリジナルを開発して販売するパーツ屋に類別されます。
まばゆい光を放っていた彼の個性で生み出されたパーツ類はある意味、作品であり、芸術です。
彼はその中でも一流の芸術家だったと思います。

この画像はイメージです。
彼は私にとって大きな存在でありました。
彼とはUNLIMITEDを始める前からの知り合いで、公私含めて非常に沢山の関わり合いをしてきた仲です。
しかし残念なことに、つい先日、誰にも告げることなく静かに姿を消しました。
自分はもうずっと前から察知していたので。。。
実はこのブログも昨今に書いたものではなく、ずっと前から書いていたけど、公開することなく保存していました。
これは彼のECサイトが消滅したので、したためていたのを書き直したものになります。
公開しなかったのは、復活を信じて、戻ってきて欲しかったから・・・。
私にとって彼はパートナーであり、ある意味、目標でもありました。アバルトにあれだけの情熱とアイデアを注ぎ込める彼は、天才ですごいと本気で思っていた。
しかし、コロナ禍が収束してきたと同時にロシアがウクライナへ侵攻したのに端を発して、彼やこの業界を取り巻く環境が一変し、思うような展開が出来ない暗黒の時期へと突入したのです。
実際、コロナ禍とウクライナ侵攻(2022年2月勃発)の複合ショックは、世界経済、特に自動車産業に対して未曾有の供給網(サプライチェーン)の混乱とコスト高騰をもたらしました。
日本では想像出来ないでしょうが、あらゆる物資はEU各国で軍事産業への供給が優先され、EU圏では軒並み自動車関連業界にとって深い影を落としたのです。
車、部品、パーツ、アクセサリー等、全ての開発はもちろん、既存の商品の安定供給すらままならなくなって。
アバルトの最終ロットが手に入る部品の寄せ集めで作られたのは、これが要因。生産ロット管理が事実上崩壊したのです。
これが故に、店舗を持たないECメインの弊社は実車確認が必要になったので、業態を一気にB to CからB to Bへ切り替えたのです。
余談はさておき、日本よりも遥かに厳しい現実の中で苦しむ彼ら。
私はその彼の要請を受けて、日本から海外へ多くの関連品を輸出していました。
EU圏の彼らはとにかく売るものが無いわけで、日本にしか流通していないディーラー物を輸入して販売していたのです。
そのうち、ロシアの侵略懸念から周辺各国は軍備増強に走り、マテリアル系の材料は全然手に入らない。だから樹脂製品に手を伸ばし、彼らしくないものを開発しては出していたのが痛々しくて・・・。
直近でいえば、フランスで高校生が国に対してデモや抗議しているのも、軍備増強で税金が使われているからで、教育面に注ぐ税金が疎かで不十分な点に学生や教師が不満を爆発させている状況。
他には、彼らの国のECサイトの運営の仕方も足を引っ張った。
彼らは日常標準的に、在庫の無いものをECサイトで売ってから物を作ったり用意したりするのだけど、物資が滞り、作ろうにも作れない状況に陥った。
それでもECサイトで物を売ることをセーブしないから、どんどん注文は増える一方。しかし供給が出来ないから納期が遅くなるだけで、顧客からはクレームの嵐。
日本でも相当被害があったのではないかなと思うけど。
日本的に考えれば、在庫が無いのを制御せずに売るから、結局、納品を待ちわびた顧客からのクレームが火種となって、決済代行する金融機関からのペナルティが課されて。
このペナルティはとても厳しくて、仲介した取引分を数か月間ストップされてしまうから、資金的に超厳しくなる。
在庫の無いものを説明せずに当たり前のようにECサイトでバンバン売るという行為が己の身から出た錆とは言え、資金をストップされて地獄を味わうわけです。
その資金繰りが滞った地獄は延々と続くわけで。不幸なことに彼は権威ある決済仲介サービスから取引を完全に打ち切られてしまいました。
これにはECで買う側も信用不安を覚えるし、SNSで炎上している様を見ると流石に誰も買わなくなる。
つまり、資金繰りの構造は完全に崩壊しました。
海外ではこれらに関して炎上しているのを私は目にしていたので心配していたけど・・・やはり、ついに。
もう一つの大きな要因は自動車産業が迎えた変革期。
BEVへ全面移行と鼻息の荒いEU圏だったから、化石燃料のアバルト・フィアットもBEVへシフトして・・・結果は言うまでもなく大失敗。
ジャガーなんか、復活するのか全く読めない。
これらが重なり合って、パーツ業界を取り巻く環境が一変したんですね。
実際、彼だけでなく、他の知り合いもコロナ禍に調子よくて店舗を大きくしたけど、環境が変わってしまって店を売って規模を縮小して繋いでいるところもあります。
もう一点、彼はアバルトだけのビジネスであったこと。
良くも悪くも外人にしては潔いというか・・・。
弊社はSforzaからフェラーリパーツへと拡大していったので。その差はデカい。
毒を吐くついでに、何処とは言わないけどSがつくところはフランスに居を構えて、イタリアのアバルトの歴史を葬り去ったことも悪罪として付け加えておきます。
それはまさに1494年のフランス王シャルル8世によるイタリア侵攻と同じ。
知らないうちにアバルトの総本山まであっという間に崩されて、その歴史は影も形も無くなった。言い過ぎるとすればアバルトのブランドはもう完全に崩壊したといえよう。残っているのは形骸化した名だけ。
いずれにしても歴史が動き、その渦に巻き込まれて、いろんなことが変わってしまった。
もちろん人様のことに限らず、弊社も時代の波に流されて変わりました。
ともかく、一番厳しいのはパーツしかやっていないところ。
車を売る、整備する、車検するところはまだ救われており、この話とは別。
パーツ屋でダメだしなのはアバルトしかやっていないところ、これが一番厳しい。
それを見越して弊社は整備はしないけど、構造変更の分野にも手を広げた。
今回、彼が居なくなってしまったのはとても残念だけど・・・。
EUに遅れて、日本国内でもじわじわとその余波に影響されるのではないかと。事実、国内でもECサイトのパーツ屋が廃業しているのはちらほら目にするようになってきた。
それはともかく、私はなにより彼がいつかまた復活するのを願っているし、どんな時だろうと彼が幸せに過ごすことを願うばかりです。
最後に弊社では彼の作品がわずかながら残っています。
もう二度と手に入らないかもしれない後世に残る作品。
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